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親に愛されない「虐待の連鎖」を防ぐのは絆

増え続ける児童虐待。

児童相談所へ寄せられる報告件数は4万件を超えています。15年前の26倍。

虐待の多くは実の親が加害者です。児童相談所がその家庭の調査を行い、そのまま放置しておくと子どもに危険が及ぶ可能性が高い場合、子どもは主に次の4つの場所のいずれかで暮らすことになります。

●里親
●児童養護施設
●児童自立支援施設
●情緒障害児短期治療施設(情短)

最後の『情緒障害児短期治療施設』は、とりわけ心に深い傷を負った子どもたちが暮らす施設で、児童精神科医や心理セラピストといった医療の専門スタッフと子どもたちの生活全般を支える児童指導員がチームを組んで心のケアにあたります。

NHKがこの『情緒障害児短期治療施設(以下、情短)』に500日間も密着取材し、情短で生活する17才の少女や情短を退所した人のその後を放送してました。



まず17才の少女。彼女は、実の父親と継母から、裸にされて外に出されたり、お風呂の中に顔をずっと押し込まれたりするなどの激しい暴力を受け、11歳の時、施設に入所しました。入所した頃の彼女は「反応性愛着障害」と診断されます。自分は必要のない存在だと心を閉ざしてしまう症状です。

幼児期に愛着と呼ばれる強い絆を持たなかった人は、他人を信用することができなかったり、社会性が身につかなかったりするそうで、彼女も最初は誰とも話すことができませんでした。

しかし、彼女を担当した生活指導員の鳥羽瀬さんとの触れ合いなどを通じて、彼女は少しずつ人との関係を作れるようになりました。とはいえ完全に回復したわけではありません。不安になると職員に暴力を振るうこともあります。でも何をされても職員の皆さんは彼女と向かい合うことを諦めません。

児童福祉法の規定により施設の入所は18歳まで。彼女も例外ではなく18歳になると施設を出なければなりません。彼女の夢は保育士になること。短大に通いたいけれど、彼女にはお金がありません。入学手続きやアパートを借りる際の保証人もいません。施設は多くの子どもを抱えているため引き受けない方針なので、頼るのは親しかいません。

彼女は勇気を出して父親に連絡します。父親からの返事は「保証人は引き受けるが学費については1年間娘の様子を見てから決めたい」。今まで放っておいていったい何なんだ!と私なんかは腹立たしく思ったんだけど、彼女は「父親が初めて認めてくれた」と喜んでいました。そして、「お父さんも風邪ひかないよう仕事頑張ってください」と健気にメールを送ってました。

結局、学費は自治体の制度を利用して、彼女は無事短大にも合格しました。

施設を退所する日がやってきました。彼女の新しい住まいは6畳一間のアパート。掃除、洗濯、お金の管理まで、彼女にとっては全てが初めての経験です。彼女をずっと支えてきた鳥羽瀬さんは早く恋人を作って欲しいと一組の茶碗をプレゼントします。

引越の日、彼女は鳥羽瀬さんと夜遅くまで語り合ってました。別れ際に「離れている心配はあるけど、ストーカーみたいにメールするけん」と鳥羽瀬さんが言うと、彼女は声をあげて泣いていました。

鳥羽瀬さんが帰ったあと、彼女の部屋に残されていた一冊のノートを彼女は見つけます。表紙には『応援帳』と書かれていました。そして、ノートの中には、暮らしのリズム、洗濯のコツ、掃除のコツ、食のマナー、結婚式のマナー、体調管理、簡単な料理のつくり方など、一人暮らしのアドバイスが事細かに書き込まれていました。もちろん全て手書きです!!新生活をはじめる彼女のために施設の全職員が知恵を出し合い作ったそうです。

ノートの最後には鳥羽瀬さんからのメッセージが添えられていました。

本当にあなたとの時間は濃厚でした。
人生は楽しいことばかりじゃない。
でも、苦しいばかりことばかりでもない。
人を裏切らず、自分にも他人にも正直に生きてください。
そしていつか幸せな家庭を築いてくれるのを楽しみにしています。
あなたの幸せを心から祈っています。


泣きじゃくる彼女が最後に一言呟きます。
「がんばる」。

彼女を担当した鳥羽瀬さんが何歳なのかわからないけど30歳前後の女性でした。
仕事とはいえ素晴らしい働きで感心しっぱなしでした。



5年前、情短の施設を退所した女性も紹介されていました。彼女は施設を出て食品関連の会社で働きはじめます。そして、その職場で出会った人を好きになり付き合うようになりますが、結婚が決まりそうになったとき、虐待を受けた過去を彼に打ち明けます。

彼は「苦しかったんだね」と抱きしめてくれたそうで、彼女はその事によりつっかえていたものがなくなったそうです。結婚の翌年に娘を出産。親に愛された記憶がないので娘をどう愛して良いのかわからなくなることもあるけど、旦那さんと協力し合って子育てしていました。

精神科医宮田雄吾さんが解説されていたのですが、虐待の連鎖というのは、約3割〜4割ぐらいの人に見られるそうです。これは逆から見ると6割〜7割の人は虐待をしないということになります。なぜ虐待を繰り返さずにいられたのか、それは、虐待された親以外のいろんな人に出会ったから。その出会いの中で、大切にされる、好かれる、信頼されることを知り、その経験がその人を支えたからなんだそうです。

親に愛されなかったことはとても悲しいことだけど、愛情を注ぐのは親じゃなくてもいいんだよね。親じゃない別の人から愛される経験をすれば回復できる、そういう人が7割もいるんだよね。自暴自棄になったり人生を諦めないで欲しいなと思いました。

虐待された人は、自分は被害者であるはずなのに、なかなか「虐待された」とは言えないそうです。だから普段から困っている人がいたら声をかけてあげることが大事なんだとか。人は人によって癒される。虐待の連鎖を防ぐのは絆。乗り越えるのは大変だと思うけど、彼女たちのようにいい出会いをして欲しいと番組を見ながら思いました。

素直になれない複雑な親子関係


< NHKドラマ「10年先も君に恋して」再放送

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