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せっせ&銀色夏生「衝動家族」を読んだ感想

●読書感想文
衝動家族「ばらとおむつ」完結編
著者:せっせ&銀色夏生
発売:2012/1/25

銀色夏生のお兄さん(通称せっせ)が書いた本。
脳梗塞で倒れた母親(通称しげちゃん)の介護記録を綴ったもので、シリーズ4冊目。

前半は、日本での介護記録(銀色さんを含む兄弟姉妹に母親の近況を知らせるため送っている通信記録)。そして、後半は、母親とせっせの二人だけのバンコク旅行記。

最近、バンコクへ行ってきたので、バンコクで読みました。

しげちゃんは、この空港を歩いたんだ。せっせは、このタクシー乗り場で迷子になったんだ。二人が宿泊したホテル(インペリアルクイーンズパークホテル)はここね。せっせが食べたセブンイレブンの「レッドカレーオムレツ」はこれかしら。せっせが写真を撮って注意された「サイアム・パラゴン」のフルーツ売り場はここね。辛いものが苦手なしげちゃんは、この「トムヤムクン」を食べて、号泣したのね。

などなど同じバンコクの空の下で、リアル感を感じながら読みました。
あっという間に読めて楽しかったのですが、しげちゃんが可哀想で。。。

何の説明もなく、空港に連れて行かれた82歳のしげちゃん。いつ帰国するか知らされてない突然のタイ旅行。旅費を浮かすため基本的に食事は一日一食。他人の10分の1の速度でしか歩けないしげちゃんが、文句言うことなく、杖をつきながらせっせの後をついて歩き、「急いで来て」と言うせっせに、「私は大丈夫。私はお兄ちゃんについて行くから、貴方は貴方の道を行きなさい」と答える。そんなしげちゃんが健気で健気で。

「どうしてそう悪い方へ悪い方へ考えるの?」と理解を超えるせっせの被害妄想が凄くて、恐ろしくなってきたけど、『しげちゃんも私も頼れるのはお互いだけ。(省略)2人とも、とてつもなく孤独なんだ』と悟る辺りで、いつ終わるかわからない介護にせっせも疲れてるんだな、と同情してしまいました。

母親と海外で暮らすのがせっせの夢。その夢を叶えるためはるばる宮崎から偵察にやってきたけど、現実はそう甘くなかった。うまくいかないことばかり。落ち込むせっせに、「この国もいい国だよ。そんなに苦しくなんかなかったわよ」と励ますしげちゃん。母親はやっぱり息子には優しい。

せっせの介護本は、今回で終わり。
銀色さんがその後出版した「つれづれノート21」に終わる理由を書いていました。

『今回で完結編ということにしたのだけど、それはせっせの旅行記を読み終えた時にそう思った。これは……、ここで終えるのがいいんじゃないかと。このまま続けると、しげちゃんがせっせにコロされる!とも思ったから。なにしろエスカレートしているせっせ。ネタを仕込もうとしているようだったので』

さすが、妹。さすが、娘。
身内じゃないと言えない。いや身内でも言いにくい。
さすが本音の銀色さん。
でも、ちょっと安心しました。深刻な感じじゃないのでよかった。

銀色さんの変わり身の早さはよく知っているので、「完結編」を撤回する日を期待してる。せっせの文章もすごく読みやすくなってきたし、なにより2人が好きだ。九州豪雨も心配なので早めに撤回して欲しい。その日を待ってるので元気でいてくださいね。

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