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みーたんさまへ  (あーたんより)
IP: 126.25.91.178
あのね、最近わたし、昔の日記を読むのがひとつの楽しみなんです。

前みたいに、そんなに切なさはこみ上げてこないからね。
わたしもおおきくなったなあと思いました。


きみとの特別な会話さえもひとつひとつ丁寧に記して、いつも、はやく消えてしまえばいいと思いながら綴っていた、きみに対しての、濁りきった甘い感情が愛しくて。
忘れて消えゆくことなんてわかっていたんです。

だから大事に、誰にもみられないように、そっととっておきたかったんです。


もう今は書き留めておきたくなるような会話さえなくなってしまいましたね。


あのときのきみが言った、あのときの私をひどく傷付けた、無神経な言葉ひとつひとつに対して、今だからこそ言い返したいことがたくさんあります。

今だからこそちゃんと言葉にできることがたくさんあります。

でも、もう今のわたしたちはそんなどうでもいいことも話せるほど特別なお友達でもなくなっていました。

きっと今がベストで、
多分わたしはいまが心地良い。


あのね、だからね、ひとつだけ。
どうしても言葉にしておきたいことがあるんです。

どうしてあのときすきだと言ったの

初めてふたりで一緒に帰ったとき、きみがそう言ったのを覚えています。
何気ないきみの質問は、いつも通り、わたしをわざとらしいほど傷付けていました。

「あの頃はただおかしかった」
なんてわたしが言ったのも覚えています。

ごめんねそれは違いました。

何もわたしはおかしくなんてなかった。
好きなひとに好きと伝えただけのその行為は、きみにとってはゆるされないことだったかもしれない。
わたしはきっとそれを知っていた。
きみが受け入れられないことを知っていた。
わたしの言葉を認めてくれないことも、全部。


後悔したくなかったんです。


きみに対して、今までどれほどまでに後悔してきたのかわからない。
これ以上後悔したくなかった。
自分を傷付けたくなかったんです、わたし。

いまある感情を、
いましかなかった感情を、
ただ君にぶつけて、壊して、ただ自分だけを守ったんです。

きみはきっと、どこかでわたしを心の底から嫌った。
気持ち悪さを感じないように、踏み込めないほどの大きな壁をわたしの前につくって。

あの頃からずっと、今も。

それでもわたしいいんです。
それでもわたしよかったんです。


ただ、きみとの思い出に後悔したくなかったんです。


きみを傷付けたおかげで、
きみとわたしという二人きりを汚せたおかげで、
私はきみという苦しみを感じることなく大人になれる。

ごめんね。

あのとき、きみを好きだといったことに対して、
後悔したことが一度もない。
いわなければよかったと思ったことが一度もない。

きみとのあの頃をどうこうしたいだなんて、もしかしたらほんの少ししか思っていなかったのかもしれない。
自分のことしか考えていなかったおかげで、きみに対しての気持ち悪いモヤモヤとしたものはわたしの心の中から消えてなくなった。


それは今も、
これからも変わらない。
壊したものは、とてもおおきくて儚いものでした。


あんなに、嫌な感情ばかり日に日に募っていったのに、
今はもう、今はもう、
消えていくばかりで、それにわたしはホっとして。
やっぱりそれは苦いもの。
やっぱりそれは苦しいこと。


ごめんなさい。

なんでかわからないけど、ふいに涙は出てくる気がします。
ここからかすかなほどみえるわたしの未来が、きみのいない世界が、もうすぐそこにあるのです。

もう、




わたしは、きみに後悔してない。
きみにしたこと、
きみにいったこと、全部。
まちがったことなんてなにひとつしなかったと、きみの苦笑いを目の前にすれば堂々となんて言えないけれど。

いまあるわたしの日常が、
目の前にあるわたしの現実が、
これでよかったと思いました。

あの頃こうしていればなんてもう思えない。


きっと、これでよかった。
わたしは、多分「いま」がすきです。
君に愛されていないこのわたしがすきです。


だから、

これでいい。



わたしいま幸せです。


ごめんね、
いつまでも気持ち悪いわたしのままで。