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努力家のあなたさまへ  (臆病な私より)
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やあ。
いつもこの挨拶でメールを始める私。
あなたは、「変なやつだね、あなたは」と笑ったね。
そういう歯に衣着せぬ性格、興味深くて好きだよ。

あなたのことは人間として好きだ。
男としてというより、友達としてというより、人間として。
誰よりも大人で、誰よりも賢くて、誰よりも子供で、誰よりも無邪気なあなたが。

「あなたの『好きだ』は交際宣言ではないね。
 だから、俺のことを束縛しようとしたり、特別な関係として受け取らないように。いいね?」

相変わらずだ、と私は笑った。あなたのそういう捻くれたところ、好きだよ。
期待はしていないし、付き合っても性格的に二人は続かないなんて分かってる。そんなヘマをするほど、私は恋する乙女にはなれないよ。そして、あなたよりも恋愛経験は多少あるから、余裕を持って大人ぶって、言い返すんだ。

「まさか。するわけないだろう。今まで通り、いつも通り、私たちは友達だ」

本気で言いたいことはメールで言うな、とあなたが言ったのに、こういう釘を刺すようなことを平気でするのね。
…なぁんて、言うわけないじゃないか。私はあなたが好きなんだ。あなたの未来ばかりを祈ってる。

あなたは世話焼きだ。
大人ぶってる私を、子供をあやすように扱う。扱い方はびっくりするほど雑だけれど、あなたのその、白くて大きな手が好きだよ。
どさくさに紛れて手を繋いでごめんね。その後は案の定、ぶん殴られたけどさ。

酒を食らって寝ている私の頭に手を乗せたこと、実は知っているんだ。
周りの皆が、「どさくさに紛れてボディタッチか!」と茶化したのも知ってる。テンションはすっかり子供のお遊び。
「まさか。起こそうとしてるだけだって。ほら、起きろ。顔だけでもあげろ」
乱暴に起こされて嫌な気するやついないじゃないか。あなた、結構女子にモテるだろう。その、何も知らない無垢で乱雑で優しくていい加減な仕草が。

ルックスは、お世辞にもかっこいいとは言えないあなたの、スーツ姿が大好きだ。
かっこいい、って言いまくったのに照れてすらくれなかったね。そんな真面目で冷めたところも魅力的だ。
もっと女子の扱い方を知れ、って茶化したこともあったね。あなたはとても怖い顔をして、毎度のごとく殴ってきたけど。遠慮のない暴力、意外と好きだったよ。大体全部、あなたのせい。

何度でも伝えたいが、大人げないのでやめておこう。
好きだ、好きだ、好きだ、好きだ。
本人には言えないので、ここに記しておくよ。

私はいつもあなたを心配してるよ。
ストーカー気質の私だって理解してるあなたは、苦笑いで追い払うだろうけど。
そんな冷たいところも大好き。
さて、次はどう攻め込もうか。

明日、「やあ。元気かい。なんとなくメールしてみた! さあ、返事を寄越したまえ」とメールを送ろう。
馬鹿なフリして深く考えないで、とりあえず送信ボタンを押せば良いんだ。
とても簡単で臆病な、私のアプローチを受け取ってね。